「あんた、お菓子屋にでもなれば?」
「・・・あぁ、良いかもね。」14歳の秋。
姉との何気ない会話がきっかけで、お菓子の世界に入る事を決意しました。
こう聞くと簡単に決めたと思うかもしれません。
けれど当時の私には、素晴らしく輝く何かを見つけたような感覚がありました。
実は、幼い頃の夢は
設計士になることでした。
暇さえあればチラシの裏に夢の間取りを描き、木の切れ端で木工をして遊んでいました。
無から有を創り上げる事の楽しさを、その時から既に感じていたのかもしれません。
分子の記号を覚えるのは苦手だけど、実験は大好き。
美術で絵を描くより、工作で本棚を作るほうが好き。
世界史は赤点取ったけど、数学の証明は100点満点。
数学の先生になろうと思った時期もありました。
料理の世界に進もうかと思った事も。
けれど、不思議と“お菓子”だけはその時姉に言われるまで思いもしていなかったのです。時期はちょうど高校進学の時。
願書提出の為、志望校を決めなくてはいけませんでした。
「数学の先生になるためには進学校じゃなきゃ」
「設計士になるためには大学にいくべきか?」
「でも高校3年間通った後にもまだ夢は変わっていないんだろうか?」
「何より勉強が嫌いなのに大学なんて行けるのか???????」
そんな時の
「あんた、お菓子屋にでもなれば?」です。
探し続けてきた最後のパズルのピースが、やっとはまったような感覚でした。
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私が初めてお菓子と出会ったのは、確か小学校4年生の頃だったと思います。
3つ年上の姉がたまにお家でお菓子を焼いていて、
素材がどんどん変化していく様子が面白くて、横でよく見ていました。
当時姉の焼くチーズケーキが絶品で、「お姉ちゃん天才!」って本気で思っていたほど(笑)。
台所で、毎日夕飯の支度を何も言わずにジーっと見ているのも好きでした。
さっきまで野菜の形をしていたのに、あっという間におかずに変わってゆく、
まさに化学の実験を見ているかのような感覚です。
お菓子作り同様、素材がどんどん変化してゆく様を見ているのが楽しくて、
ただただ無言でジーっと見つめていました。
どうやら作る事そのものよりも、素材が変化をしてゆく事に興味を持ったようです。
「導かれるように進んできたお菓子人生」その始まりもやはり導かれるようにスタートしました。
つづく
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- 2010/04/27(火) 23:23:29|
- 道のり
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